目次
ほうれん草の栄養と効能
ほうれん草は、さまざまなビタミンやミネラルを含んでいる緑黄色野菜の代表格であり、栄養価は抜群になりますが、特に成長期の子どもに必要な栄養素がバランスよく含まれているのが特徴です。
また、貧血対策に重要な鉄や葉酸・ビタミンCなども豊富に含まれているので、女性も注目できる野菜になります。
ほうれん草に含まれている栄養素には、主に以下のようなものがあります。
β-カロテン
ほうれん草の代表的な栄養素はβ-カロテンであり、200gで1日に必要な量を補給することができます。
β-カロテンは、体内でビタミンAに変わり、免疫力を高めたり粘膜を保護する働きがあるため、胃腸などの粘膜のがんを防ぐ働きがあるとされています。
油で炒めると吸収率がよくなりますので、β-カロテンを摂りたい人は油で炒めたほうがいいです。
ビタミンC
ビタミンCが含まれていて、コラーゲンの生成を促進させ、シミなどを防いだり、風邪の予防に対しての効果が期待できます。
ビタミンCは、長くゆでると損失が大きくなります。
ゆで時間を1分以内にしておくと、7割くらいは残りますので、サッとゆでたほうがいいです。
ほうれん草には、β-カロテンやビタミンCなどが含まれていますので、美肌作りを助ける効果が期待できます。
鉄
鉄は野菜の中でトップクラスの含有量であり、その量は1束で牛レバーにも匹敵するほどになっていて、貧血を予防する効果が期待できます。
野菜に含まれている鉄は吸収されにくいのですが、ほうれん草に含まれている鉄は、鉄の吸収を促すビタミンCや葉酸が含まれているので摂りやすくなっています。
鉄は、葉より根に多く含まれているとされていますので、根つきのものは切り落とさず、いっしょに食べたほうがいいです。
また、吸収率を高めるために、卵や肉・魚などの良質なたんぱく質と一緒に調理するといいです。
シュウ酸
ほうれん草には、カルシウムなどのミネラルと結合し、吸収しにくくするアク(シュウ酸)が含まれています。
シュウ酸は、体内でカルシウムと結びつき結石を作り出す可能性がありますが、ゆでてアクを抜くことによって、ほうれん草に含まれているシュウ酸はほとんど流れでしまうので、それほど注意する必要もないと思われます。
最近では、アク(シュウ酸)が少なく生食に向くサラダほうれん草などもあります。
食物繊維
茎の部分には、消化にいい食物繊維が豊富に含まれています。
ほうれん草とリンゴをいっしょに加えてジュースにすると飲みやすく、食物繊維を効率よく摂ることができるので、便秘解消の効果に期待ができます。
葉酸
赤血球の形成に欠かせず、認知症予防でも注目されている葉酸が含まれています。
葉酸は、ほうれん草から発見された栄養素なのですが、近年ではがんの予防効果が知られるようになり、注目を集めています。
ルテイン
体内で生成できない、カロテノイドのルテインという抗酸化物質が豊富に含まれていて、目の健康を保ち、白内障などの目の病気を防ぐ働きがあるとされています。
ルテインは熱に強く、ゆでても損失はないので、おひたしや和え物などにするとしっかり摂ることができます。
クロロフィル
濃い緑の葉には、人間の血液である赤い色素のヘモグロビンと成分が似ている、クロロフィルが豊富に含まれています。
血液中の毒素と結びついて解毒・浄化し、赤くサラサラとした血液を作り出してくれます。
また、ビタミンCの抗酸化作用と共に悪玉コレステロールの酸化を防止する作用や活性酸素を抑える作用があるので、生活習慣病の予防に対しての効果が期待できます。
さらに、クロロフィルにはアルコールを中和する働きもあり、二日酔いの予防にもいいとされています。
マンガン
ほうれん草の根元の赤い部分には、マンガンが含まれていて、骨を形成するのに有効だとされています。
旬の時期はこの部分の甘みが強くで美味しいので、根元の間を開くようにしっかり洗い、葉の部分と共に食べるといいです。
その他
この他、カリウムやマグネシウム・カルシウム・亜鉛などのミネラルも豊富に含まれています。
中国では便秘治療や、腸や胃の熱とり・尿が出ない・糖尿病などによる口渇にも有効とされています。
糖尿病の口渇には、ほうれん草60~100g・鶏肉15gをカップ3の水で半量になるまで煎じ、1日3回に分けて飲むと有効だといわれています。
ほうれん草の主な効能
貧血予防・白内障予防・動脈硬化の予防・便秘解消・がん予防・老化抑制・高血圧の予防、改善
ほうれん草の主な栄養成分
β-カロテン・鉄・マンガン・食物繊維・葉酸・ビタミンC・ルテイン・クロロフィル・カリウム・マグネシウム・カルシウム・亜鉛
ほうれん草の特徴
ほうれん草の原産地は中央~西アジアであり、アジアでは東洋種・ヨーロッパでは西洋種が生まれました。
東洋種は、葉にノコギリのような切れ込みがあって、丸みのある厚い葉が波上に広がり、根がピンク色でアクが少なく甘みがあります。
西洋種は、葉が大きく丸くて肉厚であり、根は緑色で東洋種よりもアクが強いです。
日本には、東洋種が中国から伝わり、のちに西洋種が導入されて、現在は両者の交配種が主流になっています。
ほうれん草の種類
山形赤根ほうれん草 | |
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山形県で古くから栽培されている東洋種です。 葉の付け根や根の赤い部分に独特の甘みを持ち、糖度はメロンやブドウ並みにあります。 |
赤茎ほうれん草 | |
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ベビーリーフとしてよく用いられる生食用品種であり、水耕栽培などによってアクがないように作られています。 |
サラダほうれん草 | |
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アクを含まないように品種改良されたもので、水耕栽培のものもあります。 葉はやわらかく小さめで、色も薄めになっています。 |
ちぢみほうれん草 | |
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冬の寒さにさらす寒締め栽培という方法で育った、糖度や甘みの高いほうれん草であり、肉厚でアクも少ないです。 表面にシワが入ってちぢれたようにみえるのが特徴です。 |
ほうれん草の旬
旬のカレンダー
ほうれん草は、全国各地でさまざまな品種が栽培され、1年中出回っているので旬の時期がわかりにくいのですが、本来の旬は12~1月ごろになります。
冬ものは、夏ものと比べて栄養価が高く、色が濃く甘みも増していて美味しいです。
ほうれん草の産地
都道府県別収穫量(農林水産省 平成24年統計 参照) |
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千葉県 全国収穫の13.6%の構成比 35,900t |
埼玉県 全国収穫の8.0%の構成比 29,500t |
群馬県 全国収穫の6.7%の構成比 21,800t |
ほうれん草は、かつては冬野菜の代名詞でしたが、品種の改良やハウスなどの施設栽培で、夏でも収穫できるようになりました。
冬場は宮崎や福岡県で、夏場は岐阜の高山や北海道で生産されていて、群馬や愛知県では周年栽培されています。
ほうれん草は夏は30日・冬は90日で収穫できるので、何度も収穫が可能であり、国内自給率は9割といわれています。
残留農薬問題で一時は大幅に減少していた輸入の冷凍ほうれん草ですが、このところは増加傾向にあり、そのほとんどは外食産業に使われています。
ほうれん草の上手な選び方
- 葉が濃い緑色をして、みずみずしいもの。
- 茎が太く、根元の株がしっかりしているもの。
- 茎の下がきれいなうすいピンク色のもの。
- 切り口が鮮やかな赤みを帯び、みずみずしいものは新鮮です。
- 極端にしなびていたり、シワが多いものは、収穫から日数がたっているものが多いので避けたほうがいいです。
ほうれん草の食べ方
ほうれん草は鮮度が命であり、買いたての新鮮なうちに調理するほうがいいです。
生で食べるのには向いていないので、ゆでてからお浸しやスープ・グラタン・コロッケなどにすると美味しいです。
ほうれん草は、アクが強いのでゆでてからの調理が望ましく、ゆでる前に根の真ん中に包丁で十文字の切込みを入れます。
ゆでる際は、たっぷりの熱湯に塩を少々加え、根の方から入れていき、全体を均一にゆで上げた後、水にさらすといいです。
この時、葉がやわらかく加熱しすぎると色があせてしまうので、調理の時は短時間で仕上げる必要があります。
ほうれん草をゆでたら水にさらし、急激に冷やすことでアクが流れでます。
※ 切る前には、束を揃えて根もとから葉先にかけて手でしぼるとよく、きつくしぼりすぎると繊維が壊れるので、しぼりすぎないことが大切になります。
ほうれん草の栄養を強化する食べ合わせ
ほうれん草+アーモンド
ほうれん草は、アーモンドに含まれているビタミンEといっしょに摂ると抗酸化作用がアップするので、がん予防の効果が期待できます。
ほうれん草+チーズ
ほうれん草に含まれているビタミンCは、骨の土台となるコラーゲンの生成を促すので、チーズに含まれているカルシウムといっしょに摂ると、骨を丈夫にする効果が期待できます。
ほうれん草+レバー
ほうれん草とレバーには、どちらも造血作用のある鉄が豊富に含まれていますので、いっしょに摂取すると、貧血の予防・改善に対する効果がアップします。
また、レバーに含まれているたんぱく質により鉄の吸収率もよくなります。
ほうれん草の保存法
葉先が乾かないようにしめらせた新聞紙に包み、ビニール袋に入れると冷蔵庫で保存ができます。
ゆでてから水にさらし、かたくしぼったものをラップに包んで冷凍庫へ入れると長期保存が可能です。
あらかじめ食べやすい大きさに切り、できれば小分けにしてから保存したほうがよく、凍ったまま調理することができるので便利です。
ほうれん草のカロリー(kcal)と食品成分
エネルギー(カロリー) |
廃棄率 |
水分 |
ナトリウム |
---|---|---|---|
20kcal |
10% |
92.4g |
16mg |
カリウム |
カルシウム |
マグネシウム |
リン |
---|---|---|---|
690mg |
49mg |
69mg |
47mg |
鉄 |
亜鉛 |
銅 |
マンガン |
---|---|---|---|
2.0mg |
0.7mg |
0.11mg |
0.32mg |
ヨウ素 |
セレン |
モリブデン |
ビタミンE |
---|---|---|---|
3μg |
3μg |
5μg |
2.1mg |
ビタミンB1 |
ビタミンB2 |
ナイアシン |
ビタミンB6 |
---|---|---|---|
0.11mg |
0.20mg |
0.6mg |
0.14mg |
葉酸 |
パントテン酸 |
ビオチン |
ビタミンC |
---|---|---|---|
210μg |
0.20mg |
2.9μg |
35mg |