大豆の種類と特徴
大豆は、主に種皮の色により大きく分けられ、用途により使い分けて調理されています。
黄大豆
一般に大豆とよばれるものは、黄大豆という種類になります。
植物性たんぱく質を30%程度含み、これに脂質・炭水化物という3大栄養素がバランスよく含まれていることから、「畑の肉」とも呼ばれ、栄養価の高い食材として古来から食べられています。
大豆に含まれているたんぱく質は、ほかの豆類や穀物の中ではもっとも多く、約35%も含まれています。
青大豆
黄大豆と比べ、枝豆に近い若々しい香りがあるため、「乾燥枝豆」と呼ばれることもあります。
黄大豆と同じように調理に使ったり、色を活かしてうぐいすきな粉として使用されることもあります。
黒大豆(黒豆)
黒豆の黒い色は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンの色素になります。
優れた抗酸化力があるので、皮ごと蒸して食べるのがおすすめになります。
味が濃厚で、おせち料理でおなじみの、甘く煮付けた黒豆として知られています。
大豆製品の種類と特徴
豆腐
豆乳に、カルシウムやマグネシウムを含むにがりを加えて固めたものが豆腐であり、消化がよいのが特徴です。
一般的に、木綿豆腐は重しをして成形するのに対し、絹豆腐は豆乳全体を固めたものになります。
また、木綿豆腐のほうが絹豆腐より栄養価は高くなっています。
納豆
納豆菌で大豆を発酵させた日本の伝統的な発酵食品になります。
納豆が持つ酵素であるナットウキナーゼは、血中の血栓をできにくくします。
無調整豆乳
水分を含ませた大豆をすりつぶして加熱し、こした液体が無調整豆乳です。
無調整豆乳に、砂糖や油脂などを加えて味を調整したものを調整豆乳といいます。
豆乳は、液体なので消化が良く、大豆の栄養をいつでも手軽に摂取できるのが魅力になります。
豆乳と牛乳を比較すると、たんぱく質はほぼ同量ですが、カルシウムは牛乳が豊富で、鉄は豆乳が豊富に含まれています。
脂質は、植物性と動物性による違いがあります。
おから
豆腐や豆乳など、大豆を加工してつくるときに出る搾りかすのことをおからといいます。
豆乳をしぼったあとのおからの中には、40%ほどのたんぱく質が残っています。
また、たんぱく質以外にも、食物繊維・カルシウム・マグネシウム・イソフラボンなど、大豆に含まれる栄養をたっぷり含んでいます。
大豆の特徴
日本人にとって大豆は、ただ煮て食べるだけでなく、醤油・味噌・豆腐・豆乳・ゆばなど、さまざまな加工食品の原料になる大事な食べ物。
大豆の語源は、「大いなる豆」といわれていて、古くは、豆といえば大豆を指したほど、大豆は日本の代表的な豆になります。
大いなる豆には、立派で大切な豆という意味合いが込められています。
大豆の原産地は、中国東北部からシベリアといわれ、その時期は紀元前3000年とされています。
中国から日本に伝わってきた時期はさまざまですが、古事記や日本書紀には大豆に関わる記載があり、この時期には日本人になじみの深い作物となっていました。
奈良時代には、味噌や醤油の原型となった穀醤(こくびしお)という発酵食品の原料として大豆が使われ、鎌倉時代には広く販売されるようになりました。
当時、仏教が普及しており、肉食が禁止されていたことから、人々はたんぱく源を味噌や納豆から得ていました。
侍や農民たちが、戦に行くときの保存食としても大豆製品は重宝されていました。
大豆の旬
大豆の収穫は、ほとんどが秋に行われます。
その年に収穫されたものを「新豆」と呼び、晩秋から翌春にかけて店先に並びます。
ちなみに、8月ごろに未完熟の状態で収穫されたものが枝豆になります。
新豆は皮がやわらかく、火が通る時間も早いですが、その分、すぐに煮くずれを起こすため扱いが難しいです。
また、風味がしっかりなじんだ乾燥豆とくらべ、風味が薄いともいわれています。
大豆の産地
大豆の生産において、以前は中国がトップでしたが、20世紀に入ってからアメリカでの栽培が増え、50年ほど前からはアメリカが最大の生産国になりました。
大豆の需要量は、1970年にくらべ約5倍に増えていて、近年では、ブラジルやアルゼンチンなど、南米で大量につくられるようになりました。
日本では、沖縄を除く全国で加工品の原料となる黄大豆や黒大豆などが栽培されていますが、自給率はとても低くなっています。
平成21年では、国内の大豆消費量は年間約367万トン。
このうち国産大豆は約23万トンであり、都道府県別に見ると、もっとも多いのは北海道で、2位は佐賀県になります。
3位からは福岡・宮城・秋田県と続きますが、北海道以外で生産が多いのは東北と九州になります。
国内生産量が少ないので、国内で消費される大豆のうち、ほとんどが輸入品になります。
現在では、ほとんどの大豆を世界最大の生産国であるアメリカから輸入しています。
大豆の上手な選び方
- 色ツヤの良いもの。
- 形が整っているもの。
- 虫食いや傷がないもの。
- 粒の大きさがそろっているもの。
- 皮にハリがあって破れていないもの。
大豆の食べ方
乾燥大豆をもどすときは、3~4倍の量の水にひたして一晩おきます。
水につけたときに、水面に浮いた豆は取り除いたほうがよく、一晩おき、豆がふっくらして、皮がピンと張っていたら大豆がもどっています。
まだ皮にシワがよっていたら、もう少し置いていたほうがいいです。
大豆は、栄養分を残さず使うため、つけ汁ごとゆでて使うほうがよく、もどした大豆を水ごと鍋に入れて、強火にかけます。
沸騰し始めたら、コップ半分ほどの水を入れて差し水をします。
水面にアクが浮いたらすくうとよく、水分が蒸発して少なくなったら水を足すといいです。
沸騰したら、中火にして1時間ほどゆでます。
100gの乾燥大豆が、ゆであがると220~240gくらいになります。
大豆の保存法
大豆の乾燥品は、虫や湿気に弱いため、密閉容器に入れて冷暗所で保管しましょう。
冷蔵庫の野菜室などを利用すれば、最良の状態で保存することができます。
ゆでた大豆は、冷凍保存すると1ヶ月くらいは保存可能になります。