カスピ海ヨーグルトの特徴
ヨーグルトでよく知られているのが、ブルガリアヨーグルトやビフィズスヨーグルト。
これらのヨーグルトは、中心になっている乳酸菌の名前をそのままつけているものです。
ただ、ほとんどのヨーグルトは、ブルガリア菌やビフィズス菌・ヤクルト菌などの乳酸菌のうち、いくつかを組み合わせて発酵させたものになります。
カスピ海ヨーグルトにも、一般的なヨーグルトに含まれる乳酸菌は含まれていますが、その他に今までのヨーグルトにはなかった乳酸菌が含まれています。
その菌は、クレモリス菌といいます。
クレモリス菌は、日本で市販されているヨーグルトにはほとんど含まれていなく、チーズをつくるときの種菌としてよく使われています。
カスピ海ヨーグルトのクレモリス菌は、乳酸を作ると同時に多糖体からなるネバネバとした物質を作り出し、周囲に放出するという、ユニークな特徴を持っています。
カスピ海ヨーグルトには、普通のヨーグルトにはないトロッとした独特の強い粘りがありますが、この粘性多糖体とたんぱく質や乳脂肪が組み合わさることで生み出されています。
その他、市販のヨーグルトの菌がよく増えるためには37~42度の温度が必要ですが、カスピ海ヨーグルトの菌は20~30度で元気に増殖します。
このため、カスピ海ヨーグルトは常温で増やしやすく、保存も簡単になっています。
カスピ海ヨーグルトの由来
カスピ海ヨーグルトは、中央ヨーロッパの黒海とカスピ海の間に位置するコーカサス地方南部からやってきました。
グルジア共和国やアゼルバイジャン共和国、アルメニア共和国などの山岳地方でつくられているので、コーカサス・ヨーグルトとか、グルジア・ヨーグルトとも呼ばれているそうです。
コーカサスは、有史以前から中央アジアを横断する古代の東西交易路(シルクロード)において、さまざまな民族が行き交じってきたところであり、世界文化の交差点ともいえるところです。
コーカサスの人々は、朝晩ヨーグルトを食べ来客にはヨーグルトをふるまいますが、健康で長寿の人が多く、100才を過ぎている人もいます。
この長寿の秘訣は、ヨーグルトを食べ続けていることにあるといわれていて、食生活の基本となり毎日食べられているのがこのカスピ海ヨーグルトなのです。
また、この地域以外でも、ブルガリアなど伝統的にヨーグルトを毎日食べる習慣がある国は、やはり長寿国として有名です。
カスピ海ヨーグルトはコーカサスの伝統食
そもそも、ヨーグルトは中央アジアから東ヨーロッパの広い範囲で、家ごとに伝わる発酵食品として代々作られていて、さまざまな料理に使われてきました。
ヨーグルトに米や豆を入れたスープが飲まれていたり、調味料として使われたりしていました。
また、そのまま食べるだけでなく、いろいろなものにつけたりして、毎日大量のヨーグルトを食べています。
それぞれの国のヨーグルトは、その土地ごとに牛乳以外の乳が使われたり、風味や形状も違っていますが、昔から健康に優れた作用をもつ食品として長く食べ続けられてきました。
日本でいえば、味噌やしょう油みたいなものであり、味噌やしょう油が地域ごとに味も成分も違うように、ヨーグルトも地域ごとにつくりかたが違ってきます。
なかでもコーカサス地方に伝わるヨーグルトは、これまで日本で知られてきた市販のヨーグルトと大きく違う点があります。
市販のヨーグルトなどが乳酸菌のみの発酵で作られるのに対して、コーカサス地方では乳酸菌と酵母をいっしょに増殖させてつくるタイプのものが広く伝えられています。
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