柿の特徴
柿は、品種が多く1000を超えるといわれていますが、甘柿と渋柿に分類されています。
甘柿は渋柿の突然変異と考えられていて、日本特産の品種になります。
ヨーロッパではkakiの名前で通用し、果実は食用とされ幹は家具材として用いられ、葉は茶の代わりとして飲まれることがあります。
柿は、奈良時代から栽培されていて、日本が原産。
縄文時代や弥生時代の遺跡からも種が出土していますが、今のように大きな果実のものは、奈良時代に中国から里帰りした品種だと考えられています。
当初は全て渋柿でしたが、鎌倉時代に入って甘柿が誕生し、江戸時代以降品種が増えています。
桃栗三年柿八年という言葉がありますが、これは実を結ぶまでの期間は長いということです。
また、柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺という正岡子規の有名な俳句がありますが、これは、法隆寺に立ち寄った後、茶店で一服して柿を食べると途端に鐘がなり、その響きに秋を感じたという意味になります。
柿は、 タネのまわりが一番甘いので、甘さを均等に分けるには、縦にくし形に切るといいでしょう。
柿の皮は、ザルなどにのせ、風通しのいいところに干すと使用でき、カレイなどの煮魚料理に利用できます。
砂糖を使った場合と比較すると、しつこくないさっぱりとした甘さに仕上がりますので、ほんのりした甘みが欲しいときの砂糖がわりになります。
また、柿の葉を煎じたお茶を飲めば、しゃっくりが止まるといわれています。

その一つが柿を食べると腹が冷えるということわざ。
柿は利尿作用のあるカリウムこそ豊富に含んでいますが、腹を冷やす原因となる成分はありません。
柿が出まわるのが食欲の秋であることや、肌寒くなる時期なので、食べ過ぎや寝冷えによる腹痛や下痢が、柿に責任転嫁されたということが理由になっています。
つるし柿
縄や糸に結んで吊るし、天日干ししたもの。
この他、竹串に刺して干す串柿などもあります。
干し柿
渋柿を干して渋みを抜いたのが干し柿。
甘柿よりも甘みが強く、まるで和菓子のようで、お茶との相性は抜群です。
白い粉は、柿に含まれる甘味成分の一種であるグルコースの結晶になります。
柿は、干し柿にするとビタミン類は減りますが、β-カロテンやカリウム・ポリフェノール・食物繊維などがたっぷりになります。
食物繊維の量は食品の中ではトップクラスであり、食物繊維が多いことで有名なゴボウの約2倍も含まれています。
ころ柿
干し柿をさらに乾燥させてつくるもの。
わらを敷いた樽の中で、8日ほど寝かせてつくります。
糖分が表面に浮きだして白い粉を吹いたようになります。
柿餅
中国の干し柿。
日本とは違いザルなどに並べて干し、水分の抜けたところで平たくつぶして餅状にします。
あんぽ柿
干し柿の一種。
渋柿を硫黄で蒸した半生タイプで、水分が50%前後残っているものになります。
トロっとしていて甘みが強いです。
柿の葉寿司
奈良・石川・和歌山県の郷土料理。
その名の通り、柿の葉で巻いた寿司になります。
柿の種類
次郎 | |
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江戸時代から栽培されていて、ややかためで四角い形が特徴。
タネはほとんどなく、果肉はかためで歯ごたえがいいです。 |
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富有(ふゆう) | |
甘柿の代表的品種であり、全国で栽培されています。
ふっくらと丸みがあり、甘みが濃く日持ちがします。 |
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松本早生富有(まつもとわせふゆう) | |
外観や味は富裕とほとんど同じですが、こちらのほうがやや小ぶりで扁平形になっています。 | |
太秋(たいしゅう) | |
果肉はサクサクとした歯ざわりで、甘みが強く果汁が豊富になっています。 | |
早秋(そうしゅう) | |
肉質はやわらかめで果汁がたっぷりあり、さっぱりした甘みを楽しむことができます。 | |
輝太郎(きたろう) | |
鳥取県のオリジナル品種。
外観はふっくらしており、果肉はしっとりなめらかな食感で、上品な甘みを感じることができます。 |
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福岡K1号 | |
福岡県のオリジナル品種。
歯ごたえのよさと抜群の甘みがあります。 |
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伽羅(きゃら) | |
佐賀県が原産の品種。
九州地方では古くから親しまれていて、果肉に黒いゴマが多く伽羅の木目に似ているためこの名前がついています。 |
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会津身不知(あいずみしらず) | |
福岡県では古くから皇室献上柿として知られていて、渋抜きをするとねっとりとして甘くなります。 | |
刀根早生(とねわせ) | |
奈良県天理市の刀根市が発見した品種。
平核無よりやや大きめですが、味わいや肉質はほぼ同じになっています。 |
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平核無(ひらたねなし) | |
富有に続いて生産量が多く、果肉はなめらかで、甘みが強い。
肉質はやわらかくてほどよい甘さがあり、日持ちにも優れています。 |
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筆柿(ふでがき) | |
名前の由来は、形が筆の先に似ていることからであり、しっかりとした肉質で甘みが強い。
早生品種であり、他の品種よりも早く出まわっています。 |
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甲州百目(こうしゅうひゃくめ) | |
つりがね形の、大型不完全渋柿。
渋抜きして生食することもありますが、多くは干し柿にされています。 |
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西条(さいじょう) | |
果形は細長く、4つの溝があるのが特徴。
戦国時代に中国地方を治めていた毛利氏が、干し柿を戦の携帯食にしたとも伝えられています。 |
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市田柿(いちだかき) | |
長野県が原産の品種。
500年以上の歴史がある渋柿です。 干し柿にしたものも市田柿といわれ、地域ブランドに認定されていて、日本各地や海外でも人気があります。 |
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堂上蜂屋(どうじょうはちや) | |
岐阜県が原産の品種で、1000年以上の歴史があります。
朝廷や幕府に献上されていたことから、「堂上」と命名されています。 |
柿の旬
旬のカレンダー
柿は、一般的に10~11月に成熟するので、秋が旬の果物。
ハウスで加湿して栽培されたものは8~9月に出まわり、10月からは露地ものが出荷され、11月からは出荷量が最も多く価格も安くなります。
その後、12月に入り出まわるものは、冷蔵した柿になります。
柿の産地
都道府県別収穫量(農林水産省 平成25年統計 参照) |
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和歌山県 全国収穫の22.4%の構成比 48,200t |
奈良県 全国収穫の13.3%の構成比 28,500t |
福岡県 全国収穫の9.0%の構成比 19,400t |
柿は、各地の名産品種がたくさんありますが、どれも出まわる時期が短いので、食べそびれないようにしたほうがいいでしょう。
渋柿は、出荷前において渋抜きの期間が必要なため、収穫から出荷までのタイミングは品種によってまちまちになっています。
柿の上手な選び方
- 持った時に重いもの。
- 全体にツヤとハリがあるもの。
- ヘタが鮮やかな緑色のもの。
- ヘタの形がしっかりしているもの。
- 赤みが濃いほど甘いとされています。
柿の保存法
柿を保存する時は、逆さにしておくと甘みが増します。
冷蔵庫で1~2週間は保存可能ですが、熟したものは早く食べるほうがいいでしょう。
熟しすぎた柿は、1個ずつラップに包み冷凍庫で保存しておくと、室温で少しもどすだけで手軽にシャーベットを楽しむことができます。
なた、柿は、リンゴと一緒にビニール袋に入れておくと、約1週間で渋が抜けて甘くなります。
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