あわ・ひえ・きびの特徴とその他の雑穀の紹介♪

収穫

あわの特徴

アワあわは、東アジアが原産であり、新石器時代にはすでにユーラシア大陸の各所で栽培されていたことが遺跡の出土物から明らかになっています。
中国からもっとも古く伝わった穀物のひとつで、稲よりももっと古い縄文時代からひえとともにすでに栽培されていたといわれており、古事記にも登場しています。

あわという名前の由来は、味が淡いことや、阿波の国において多く栽培されているからだとされています。

あわには、品種が50以上あるとされていて、その土地の伝統的な料理とともに守られてきました。
直径約1.5mmと小粒で、先祖は雑草のエノコログサ(ネコジャラシ)だとされています。

明治の始めにおいては、米よりもあわのほうが栽培量が多く、1940年代には食糧不足に対処するためさかんに生産されましたが、1960年代以降、あわの栽培は急速に減少しました。
現在では、岩手県と長野県で90%近くを生産していますが、国内での生産量は少なくなっています。
寒冷地の春あわと、温暖地の夏あわに生態が分かれていて、クリーム色のもち種と黄味がかったうるち種がありますが、もち種の栽培がほとんどです。

濡れ手で粟

ラクをして利益を得ることのたとえであり、小粒なあわを濡れた手でつかむと、つかんだ以外のあわまでついてくることに由来しています。

ひえの特徴

ヒエひえは、古代から食用として重要な役割を果たしてきており、原産地はインドあたりだとされてきました。
けれども、近年では、インドやネパールなどで栽培されている品種と、日本のひえは起源が別だという説が有力になってきています。

日本では、稲が伝わる以前からあわとともに食べられていて、日本書紀にはひえが古くから栽培食物であったことが書いてあります。
アイヌ民族は、ひえを祖先神がもたらした聖なる穀物とし、ピヤパと呼びおかゆなどにして食べていました。
ひえの実は、グレーがかった小粒で、草丈は1.3~2mくらいであり、よく茂った茎や葉なども家畜のエサとして利用されてきました。

ひえという名前は、冷えに強いことだとする説などがあり、稲よりも低温に強くて生育期間が短くなっています。
熱帯性と温帯性のものがあり、日本のひえは温帯性で、どちらかというと涼しくて湿った土地に合っています。

寒さに強く根がよく張るので、湿った土地から乾いた土地まで適し、あまり養分のない土地でも育つたくましい作物です。
寒冷地においては、稲を栽培しても冷害の危険が高く、山間地では田んぼの整備がうまくいかず水田面積が少なかったので、昭和30年代までは多くの山間地でひえは食べられてきました。

九州から北海道まで栽培されていて100を超える品種がありますが、国内の生産量では圧倒的に岩手県が多く、90%以上を占めています。
現在食べられているのはうるち種の栽栽培種であり、イヌビエなど野生種とは別の種とされています。
非常にアクが強いため虫がつきにくく、30~40年は保存できる作物になっています。

きびの特徴

キビきびの原産地は、アジア東部から中央部だといわれていて、エジプトやインド・ギリシャなどで早くから栽培されていたもっとも古い作物のひとつになります。

古代中国では、もちきびは黄米といって、最高級の食べものとされていました。
日本へはあわやひえよりも少し遅れて中国から伝わったと考えられていて、日本で初めて登場するのは奈良時代の万葉集になります。

粒の大きさはあわより少し大きめであり、他の作物が育たないような乾燥地や荒れ地に育つため、厳しい自然環境の地でも多く栽培されています。
3~4ヶ月というあわやひえよりも短い生育期間で収穫できて乾燥に強く、寒地向きの春まきと暖地向きの夏まきがあります。
また、収穫前の穂が稲と似ているので稲きびともいわれています。

きびは、北海道から沖縄までの全国各地で栽培されていて、多くの品種があり、国内での収穫量第1位は長野県、第2位は沖縄県です。
1900年には全国で34000ヘクタールの栽培があり、1950年代までは各地できびがつくられていました。
けれども、2002年の栽培面積は152ヘクタールであり、生産量は180トンとほんのわずかになっています。

もろこし(たかきび)の特徴

トウキビの稲穂もろこしの原産地はアフリカであり、その起源は古く、サハラ砂漠のサバンナ地帯で、紀元前3000年より以前においてすでに栽培化されていたと考えられています。
その後、アラビアを経て、紀元前2000年頃にはインド、紀元前4世紀頃には中国に伝わり栽培されていました。

もろこしは、別名たかきびやモロコシきびとも呼ばれていて、色もさまざまです。
小麦・トウモロコシ・稲・大麦に次いで世界の穀物生産量の第5位になっています。

日本へは、唐土(中国大陸)経由で伝わってきた雑穀とされています。
1940年頃には3500ヘクタールの栽培があり、戦後の食料不足で一時的に栽培は増えましたが、1970年頃には食用としての栽培はほとんど消滅し、現在ではごくわずかに栽培されている程度です。

アフリカでは今でも利用価値は高く、粉にして主食にしたり、ビールや燃料・穂をホウキにしたりと多目的に使われています。
アメリカでは、1850年代にシロップ用として品種が導入されたのが始まりであり、中国では今でも広く食べられていて、中国名はコウリャンになります。

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その他の雑穀の種類と特徴

トウジンビエの特徴

トウジンビエの稲穂トウジンビエは、イネ科チカラシバ科であり、トウモロコシに似た姿をしていて、草丈は1~3mに達します。

西アフリカのサヘル地帯が起源とされ、その後インドへ伝わったと考えられています。
モロコシやシコクビエと同様にアフリカを代表する雑穀のひとつであり、スーダンや中央アフリカを中心とする熱帯アフリカおよびインドにおける重要な穀物になっています。

アフリカでは、粒を挽き割りにしてクスクスと呼ぶ粥にして食べています。
インドでは、製粉してチャパティ(平焼きのパン)にすることが多いです。
日本では石垣島に導入されましたが、研究目的以外はほとんど栽培されていないのが現状であり、水田転作での飼料作物として九州で栽培されています。

アマランサスの特徴

アマランサスの稲穂アマランサスは、ヒユ科ヒユ属植物の総称をいい、世界的には約60種ほどあります。
種をまけば自生するので栽培は簡単であり、生育すると背丈が2m以上にもなります。

南米のアンデス山脈が原産であり、古代インカ帝国時代より栽培されてきた穀物です。
紀元前3000年~5000年においてアンデス南部の山岳地帯でアステカ族が栽培していて、トウモロコシやインゲンマメなどに匹敵する重要な作物でした。

19世紀に入るとアジアやインドに伝わり、インド北部の山岳地帯やネパールなどで栽培されるようになりました。
日本へ伝わったのは江戸時代末期であり、東北地方でセンニンコク(仙人穀)という名前で栽培されていましたが、当時は観賞用でした。

現在、日本では岩手県などで少しではありますが栽培されており、製品としては黄色っぽいものが一般に出まわっていますが、赤や黒などの色もあります。
殻がなく脱穀が不要なので、粉にひいて小麦粉と混ぜ、麸やお菓子またはパンの材料に用いられることが多いです。

シコクビエの特徴

シコクビエシコクビエは、イネ科オヒシバ属に分類される一年生作物であり、穂の形が手の指であることから、英語ではフィンガーミレット、南インドではラギ、スリランカではコラカンと呼ばれています。

原産地は、エチオピアからウガンダにかけての東アフリカ高原地帯です。
紀元前3000年くらいに登場し、インドでは紀元前1300年ごろにはすでに栽培されていて、かなり早い年代にアジアに伝わったと考えられています。

ネパールやインドでは今も重要な主食であり、日本へは、縄文時代晩期にインド北東部から中国南部を経て伝えられたと考えられています。
古くから荒れ地でも育つ頼もしい作物として栽培されていて、殻がないので収穫調整が簡単であり、粉食が一般的になっています。

シコクビエという名前は、四国地方に由来しているという説があります。
熱い気候を好み、栽培は焼畑や普通畑で行われ、栽培期間が短いことから標高の高い畑地にも栽培されてきました。
また、しばしばトウモロコシやあわ、その他の作物との混作で栽培されています。

現在の日本においては、徳島県や岐阜県・長野県などの山間で、わずかな農家が生産している程度になります。

大麦の特徴

大麦の稲穂大麦の起源は、中近東地域であるのが有力であり、南西アジア地域においては、1万年ほど前から小麦やライ麦と同様に栽培されていたといわれています。
中近東から民族の移動にともなって、小麦やきびとともに西方に伝わったとされていて、ヨーロッパへは新石器時代には伝わっていることがスイスの遺跡からの発掘物でわかっています。

紀元前2700年頃の中国では、儀式において大麦が使用されていたので、当時すでに栽培されていたみたいです。
日本へは、3~4世紀頃に朝鮮から小麦よりやや遅れて伝わったとされています。

大麦は、北米・ヨーロッパ・中国・オーストラリアなど世界各地で広く栽培されていますが、多くは飼料かビール用です。
日本では、はだか麦は主に麦味噌用、二条皮麦はビールや焼酎などの醸造用、麦茶や麦めしには六条皮麦が使われています。

また、大麦は、それぞれ穂の形によって二条オオムギや六条オオムギがあります。
二条オオムギは栃木・佐賀・福岡・岡山・熊本県、六条オオムギは福井・茨城・栃木・石川・富山県などで生産されています。
国内の自給率は3%と小麦の自給率よりさらに低くなっていて、輸入される大麦の9割以上が家畜飼料用になっています。

押し麦の特徴

押し麦押し麦は、大麦を圧縮して食べやすくしたものであり、食物繊維が白米に比べて約19倍と、雑穀のなかでもずば抜けて多いのが特徴になります。
食物繊維は、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える効果が期待できます。

また、雑穀の中でも特にカロリーが低く、カルシウムが豊富で、コレステロールを減らす効果もあります。
最近では、丸麦・白麦・米粒麦など、加工方法が違った商品も出ています。
原料である大豆は煮えにくいため、精麦して2つに割ったり、あるいは蒸してやわらかくしてからローラーでひらたく潰すなどして、調理が楽になるように加工しています。

はと麦の特徴

はと麦の稲穂はと麦の起源は東南アジアであり、インドやビルマ地域でもっとも古くから栽培されていることから、この付近が発祥地とみられています。
東南アジアでは、トウモロコシが導入されるまでは米の代用食料として重要とされていて、タイにおいては現在も多くの品種が存在しています。
ここからマレーを経由してインドシナ方面へ広まり、中国やヨーロッパに伝わりましたが、ヨーロッパでは観葉植物としてのみ栽培されていました。
インドやブータンなどでも多く栽培されていますが、食べるためではなく酒の製造に使われています。

日本へは17世紀の江戸中期に唐麦として中国から伝わりました。
ヨクイ・チョウセンムギ・トウムギなど、江戸時代の末期まではさまざまな名前で呼ばれていて、はと麦と呼ばれるようになったのは明治時代になってからのことになります。

はと麦は、雑穀の中で粒がいちばん大きく、ベージュ色でまるくてふっくらとしており、真ん中に大きな溝があります。
川辺などに見られる葉っぱが長くて固く黒い実をつける、イネ科のジュズダマの変種とされていて、もち種とうるち種がありますが、日本で見られるものはほとんどがもち種になります。

名前の由来は、鳩が好んで食べるという説や、多く収穫できる八斗できる麦から名づけられたという説などがあります。

第二次大戦中から戦後においては栽培が奨励されていましたが、その後、栽培農家は激減しました。
温暖湿潤の地を好み、荒れ地でもよく育ち肥料もあまりいらないのですが、虫がつきやすいことや、背丈が高くなり台風の被害を受けやすいのが問題といえます。

近年では、稲からの転作作物として注目されて少しずつ増えています。
また、厚生省のよびかけによって保険食として奨励されていたり、食糧不足を補うためのひとつとして増産がはかられています。
はと麦の国内需要は年間10000トンとされていますが、国内の生産量は500トン程度であり、不足分のほとんどはタイや中国からの輸入に頼っています。
また、国内での生産量は栃木県が一番多く、秋田県・広島県の順になっています。

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赤米の特徴

赤米の稲穂赤米が日本に初めて伝わったのは縄文時代であり、稲作が伝わったときと考えられています。
それ以降、赤米は日本全国に広く浸透していき、邪馬台国や大和朝廷への献上米も赤米が主だったといわれています。

赤米は黒米と同じ古代米の仲間であり、野生稲のほとんどが赤米であることから米のルーツと考えられていて、日本に伝わった品種のかなりの部分が赤米系統だとされています。
日本に従来からある在来品種には、稲作伝来の時にやってきたと思われる日本型と、鎌倉時代に中国から導入されたインド型があります。
日本型は低温に強いため東日本で、インド型は低温には弱い代わりに荒れた土地や干ばつに強いので、関東以南で栽培されるようになりました。

また、赤米にはもちとうるちがあり、米粒の形はジャポニカ種(短粒)とインディカ種(長粒)がありますが、日本ではジャポニカ種のうるちが多く栽培されてきました。

江戸時代においては、年貢米というよりは家庭用や貯蔵用として使用されており、赤飯の起源ともいわれています。
ところが、明治時代に入ると赤米は雑草と考えられ、一般の田んぼでは作付けされなくなっています。

黒米の特徴

黒米の稲穂黒米は、中国が原産であり、1500年以上前の中国の文献においてすでに栽培されていたことが記されています。
楊貴妃も美容食として愛用していたとされていて、不老長寿の米として歴代の皇帝に献上されていました。
また、中国だけでなく、ミャンマー・タイ・カンボジアなど東南アジア一帯やネパールでも多く栽培されています。

日本においては、おはぎの起源で古くから祝いの米として珍重されてきたことはたしかですが、伝わった経緯などはよくわかっていません。

黒米は、お米の祖先といわれる古代米の1つで餅玄米であり、含まれる栄養素はほとんど玄米と同じです。
もちとうるちがあり、米粒の形はジャポニカ種(短粒)とインディカ種(長粒)がありますが、世界的にはインディカ種のもち米が多く作られています。
玄米の色が黒色で、ぬか(果皮・種皮)の部分に紫黒色系色素を含んでおり、五分づきにすると米が紫色になるため、紫米とか紫黒米と呼ばれています。

そばの特徴

そば 栽培そばは、中央アジア原産であり、ヒマラヤでは7000年以上も前から栽培されていました。
初めてそばのことが書かれてあるのは中国であり、5・6世紀頃のそば栽培の様子を伝えています。

アジアだけでなく、ロシアやイタリアでもよく食べられている雑穀であり、ヨーロッパへは13世紀頃にシベリアを経てロシアまたはトルコから伝わりました。
現在では、世界の広い地域で栽培されていて、北米やカナダなどが主な生産国になっています。

日本へは、中国や韓国を経由して縄文時代にはすでに伝わっていたと考えられていて、弥生時代の登呂遺跡から出土した土器の中からもそばが発見されています。
現在では、日本全国で栽培されていますが、国産は2割程度であり、北海道や九州地方が主な産地になっています。

そばは、タデ科の一年草で、そば粒はそば米ともいい、三角で大きめの粒です。
栽培は簡単であり、成長が早く雑草も生えにくいですし、タデ食う虫も好き好きのことわざ通り、虫がつきにくいので害虫の心配が少ないです。
そのため、冷夏に稲の様子を見てからまいても収穫が間に合うので、貴重とされてきました。
ただ、暑さには弱く、実が落ちやすく収穫量が少ないうえ、保存はあまりできないです。

キヌアの特徴

キヌアの稲穂キヌアは、ヒユ科に属される一年草であり、ほうれん草やてん菜の仲間になります。
海抜0m地帯から標高4000mの高地でも育ち、やせた土地などさまざまな環境に適応できる雑穀です。
成長すると草丈は約80cm、大きいものは2mにもなり、茎の先端に花穂をつけ、直径2mmほどの種子が密集してできます。
これを収穫・脱穀したものが食用となるキヌアであり、種子の色は品種によって白・赤・黄・黒などがあります。

コロンビアからアルゼンチンにかけてのアンデス山脈一帯が原産地のキヌアは、紀元前7000~5000年ごろから野生種の食用が始まり、紀元前4000~3000年にはチチカカ湖周辺地域で盛んに栽培が行われていました。
標高2500m以上の高地で、年間降雨量が500mmと乏しく、冬は最低気温が零下になる厳しい環境で育つキヌアは、この地に住む人々によって重要な食糧でした。
13世紀のインカ帝国では、神聖な作物として穀物の母と呼ばれていました。
農作物の生長と収穫を祈願する祭事には、王が執り行う儀式において聖なる食べものとして扱われていました。

NASAも注目する食べ物

キヌアが世界中で注目されるようになったのは、NASA(アメリカ航空宇宙局)がキヌアの特性に注目し、21世紀の主要食として宇宙食に推奨したのがきっかけです。
その後、NASAの発表を機にキヌアの名は世界に広まり、アメリカやヨーロッパではスーパーフードとして人気が出ています。

また、今日ではパンやパスタの原材料としても広く利用されるようになっています。
キヌアは現在、ボリビアやペルーを中心に生産が行われていて、さまざまな国が農業試験を行っています。
高地や湿原・塩害地など、作物が育たない土地でも生育できるキヌアは、世界の飢餓に対する救世主になるともいわれています。

チアシードの特徴

チアシードチアシードは、シソ科サルビア属ミントの一種である、メキシコ中西部からグアテマラ北部の山岳地帯が原産の一年草チアの種子です。
古代アステカやマヤ・インカの人々は、主食のようにトウモロコシや豆といっしょに大切な食料としてきました。
また宗教儀式の奉納品として神々に捧げられ、通貨のようにも扱われてたりもしていたそうです。

チアはマヤの言葉で強さを表し、大さじ1程度のチアシードとお水さえあれば1日生きることができるといわれていたほど栄養が豊富になります。

最近では、チアシードには人の健康維持に必要なたくさんの栄養素が含まれていることがわかっています。
アメリカでは注目が集まり、ふだん偏りがちな栄養を補うスーパーフードとして、海外のセレブがこぞって取り入れたこともあり、年々需要も高まる人気の食材になっています。

さいごに

今回は、あわ・ひえ・きびや、その他の雑穀における特徴を合わせて紹介しました。
日本においては、今回紹介したような雑穀を食べていますが、場所が変われば、食べている雑穀の種類などは違ってきます。

こちらの記事:雑穀とは?歴史からわかる世界の状況にて、世界ではどんな雑穀が食べられているのか?などを紹介していますので、よかったらご覧ください。

 

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