トマトの特徴
トマトは、15世紀の新大陸発見の頃メキシコから欧州へ渡り、日本には江戸時代に長崎に伝わりました。
当初は酸味が強く、観賞用として唐柿と呼ばれていました。
食用にされたのは明治時代であり、国内で栽培が始まったのは昭和になってからのことです。
ケチャップやトマトソース・ピザソース等に用いられるため、年間消費量は1億2000万トン以上と、野菜の中でもダントツで世界一の消費量となっています。
トマトは、健康効果にすぐれた夏野菜。
肉や魚のほか、野菜や豆・卵など多くの食材と相性がよく、加熱すると甘みが引き立ちます。
欧米では、「トマトのあるところに料理下手はいない」といわれるほど、あらゆる料理においてうまみのベースになっています。
日本ではサラダやつけ合わせとしての利用が多いトマトですが、欧米では加熱調理用に使われています。
トマトをサラダ用野菜とする日本人は、ピンク系トマトを好んで食べていますが、世界の品種を見渡すと大部分は赤系であり、ピンク系トマトを好むのは日本人と韓国人だそうです。
●ピンク系・・・皮が薄く果肉もやわらかくて、生食には向いていますが薄味です。
●赤系・・・味が濃厚で加熱するとうま味が増します。
トマトとオリーブオイルとチーズというイタリア料理の定番の組み合わせは、カルシウムやリコピンの吸収をアップさせるなど、美味しいだけでなく栄養面でも相性のよい食べ合わせ。
スープやシチューなどの煮込み料理にトマトを加えると、グルタミン酸の効果で、うま味やコクがアップします。
また、魚介類との相性もよく、グルタミン酸やクエン酸がだしの働きをして素材のうま味を引き出します。
新鮮なトマトはそのまま食べると美味しいので、冷やして切るかサラダ等がいいですが、冷やしすぎると鮮度が落ちるので、食べる1時間位前に冷蔵庫に入れるほうがいいでしょう。
生で食べるときは、ごまドレッシングやスライスしたアーモンドなど、手軽に加えられるビタミンEをプラスすると、栄養分を効率的に摂取することができます。
缶詰やピューレといったトマト加工品は、高濃度のリコピンが含まれる完熟加工用トマトを原料にしているので、保存もきき、料理のベースや隠し味に使えて便利です。
また、栄養素やうま味も充分な完熟トマトからつくるトマトジュースには、薬効がたっぷり。
ただし、塩分の入ったものは血圧降下作用も半減してしまうので、食塩無添加のほうがいいでしょう。
①切込みを入れてから沸騰した湯に入れてむく湯むき
②直火であぶる焼きむき
③冷凍してから流水に当てる冷凍むき
④専用ピーラーを用いる
です。
底に十文字に切れ目を入れ、ヘタを取りサッと熱湯に通してすぐ冷水に入れると、皮がむきやすくなります。
加熱すると甘味やうまみが増しますが、皮の近くにうまみが多いので、皮つきのまま加熱するほうがいいでしょう。
水分を出したくない料理ではタネをとるほうがいいですが、タネのゼリー部分にもうま味があるため、捨てずに利用したほうがいいです。
トマトケチャップとは?
トマトケチャップとは、トマトにスパイスや酢・塩などを加えてつくる栄養豊富な調味料。
トマトに含まれているリコピンやβ-カロテン・ビタミンE・カリウムなどの栄養分やうま味成分がたっぷりと含まれているので、料理にコクを与えることができます。
トマトの種類
桃太郎 | |
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大玉タイプとして主流の品種であり、生食用の代表格。
果肉がしっかりしていて甘味と酸味のバランスがよく、完熟しても果実がしっかりしているのが特徴。 |
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ファースト | |
冬から春に出まわる大玉ピンク系のトマトであり、果先がとがっているのが特徴。
完熟品種が普及する以前は多く流通していました。 タネのまわりにあるゼリー質が少なく、果肉がかためで甘みが強いです。 |
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こくみラウンド | |
桃太郎よりもひとまわり小さい丸型のトマト。
しっかりとした果肉は、生食・調理用のどちらにも向いています。 |
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にたきこま | |
プラム型の加熱調理向きの品種。
煮くずれしにくく、とろみが強くて色や味も濃厚になります。 |
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イタリアン | |
サンマルツァーノに代表される調理用トマト。
うまみ成分を多く含み、果肉が厚くゼリー分が少ない。 |
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アイコ | |
果肉が厚く、甘味の強いプラム型ミニトマト。
リコピンがミニトマトの2倍ちかくあり、加熱調理に向いています。 |
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ミニ(プチ)トマト | |
ひと口サイズのトマト。
お弁当で人気が高く、黄色やオレンジ色のものもあります。 さらに小型のチェリートマトや、マイクロトマトなどもあります。 甘みが強く、栄養価も高いです。 |
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アメーラルビンズ | |
栄養成分豊富な、だ円形の高濃度トマト。
特別な栽培法で育てられていて、小さなままで成熟します。 |
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シシリアンルージュ | |
トマトの本場である、イタリアのシシリア島生まれの食材用トマト。
濃厚な味であり、ピンク系トマトの3倍ものグルタミン酸を含みます。 |
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サンマルツァーノ | |
赤色系トマトの代表格であり、トマトの水煮缶などに使われています。
甘みが少なく、酸味が強くて、加熱するとうまみが引き出され美味しいです。 |
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ピッコラルージュ | |
糖度10前後のミニトマト。
濃厚な甘味とコクがあるので、生食が美味しいです。 |
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ピッコラカナリア | |
黄色のミニトマトであり、高い糖度とカロテンを含むのが特徴。 | |
グリーン | |
フリッタやサルサソース向けに近年注目されている緑色の品種。
完熟しても赤くならず、リコピンも含まないです。 |
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ブラック | |
アントシアニンを含む黒皮品種。
酸味が少なく、味にクセがないです。 生食・調理用のどちらにも向いています。 |
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マイクロミニ | |
原種トマトに近い改良品種であり、そのままソースなどに使うことができます。 | |
フルーツトマト | |
水や肥料を制限して栽培された、糖度の高いトマト。
フルーツに近い風味があり、品種改良が進んでいます。 実の先から放射線状に広がるスターマークは、フルーツトマトに見られる特徴的なライン。 甘味と酸味のバランスを考えると甘すぎてもダメであり、糖度7程度が理想になります。 |
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フルーツルビー | |
フルーツのような甘さの中玉トマト。
果先が少しとがったハート形が特徴で、生食向き。 |
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フルーツゴールド | |
オレンジ色の中玉トマト。
酸味が少なく、高糖度で甘さが際立っています。 |
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フルーツイエロー | |
黄色いミニトマト。
小粒で酸味が少なく、高糖度で皮がやわらかいのが特徴。 口に皮が残らず、子供にも大人気の品種。 |
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夢トマト | |
徳島県のフルーツトマトのブランド。
糖度は8以上で、トマトの中でもきわめて高いです。 |
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シンディスイート | |
バランスのいい甘味と酸味を持つ、濃厚な味の中玉種。
比較的日持ちするので、さまざまな用途に使うことができます。 |
一方、世界では8000種を超える品種があるとされています。
味や香り・食感・見た目等を楽しませてくれる品種が数多く存在します。
トマトの旬
旬のカレンダー
トマトの旬ですが、露地栽培されたものは6月~9月。
ハウス栽培のものは一年中出回っていますが、特に旬はありません。
トマトの成長は、日照時間と生育日数に左右されます。
春や秋のトマトはゆっくりと成長するため味が凝縮しますが、夏のトマトは早く成長するので、大きめであっさりとした味になります。
トマトの産地
都道府県別収穫量(農林水産省 平成24年統計 参照) |
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熊本県 全国収穫の14.4%の構成比 104,300t |
北海道 全国収穫の8.0%の構成比 58,000t |
茨城県 全国収穫の6.7%の構成比 48,700t |
トマトは、野菜の中で最も生産量が多い品種。
全国各地で栽培されていますが、ハウスなどの施設を使った栽培が7割以上 になります。
12月~6月に出まわる冬春トマトは熊本・千葉・愛知で、7月~11月の夏秋トマトは北海道・茨城・福島などで主に生産されています。
枝について完熟したトマトは、味がよくビタミンCも豊富ですが、店頭に並ぶ多くのものは残念ながら日持ちを考慮して、緑色が残る状態で収穫されたもの。
トマトには、追熟といって収穫後も20℃以上の環境にあれば色づく性質があり、熟した時点で糖度が決まるので、甘みは変化します。
トマトの上手な選び方
- 皮にツヤとハリがあるもの。
- 表面に傷がなく、丸みがありずっしりと重いもの。
- 全体的に赤く果肉が厚いもの。
- ヘタの部分が鮮やかな緑色である。
- ヘタの周辺がひび割れているものは避けたほうがいいでしょう。
トマトの保存法
トマトは冷やしすぎると味が落ちてしまうので、なるべく室温で保存したほうがいいでしょう。
青さが残っているトマトは、低温では追熟しないので、常温でしばらく置く必要があります。
完熟したトマトは傷みやすいので、ポリ袋かラップで包んで冷蔵庫で保存した後は、早めに食べましょう。
トマトソースにして冷凍保存しておくと、いつでも使えるので便利です。
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